株式会社オプトン

コンピュータ数値制御で高精度の検査・生産機器を開発、
パイプ曲げから液圧加工・形状認識・自動化技術へ。

立春が間近となってもまだ寒いある朝、名鉄瀬戸線新瀬戸駅の北東、約2kmの株式会社オプトン本社を訪問し、與語照明社長にお話を伺いました。同社は、CNC(コンピュータ数値制御)技術を活用した塑性加工機や三次元光学測定器といった生産機材の専門企業で、近年は特に自動車用部材製造機材を中心にして、航空機や一般工作機用のオプトメカトロニクス製品の開発・製造・販売に取り組んでいます。

創業事始

1963年に(株)中央電機製作所という社名で、名古屋市守山区の南部にて、シーケンサー等の自動制御機器の設計・製造を行う企業として創業したのが当社の始まりです。その後、高度成長期にはCNC技術を活用した工作機械メーカーへと展開を図り、試作したパイプベンダー(管材の曲げ加工機)が1976年の「日刊工業新聞社十大新製品賞」を受賞したのが大きなインパクトとなって、MiiCブランドとして自動車用マフラー等の加工を始めとする各種CNC加工機、特にハイドロフォーミング(液圧加工)機の開発を推進するようになりました。さらに1990年からは、社名を(株)オプトンに変更すると共に、米国の軍需産業からスピンアウトしたベンチャー企業と共同開発を開始した光学計測技術、特に三次元非接触計測技術開発にも傾注するようになっています。

基幹となる技術は...

液圧加工とは、型に被加工材である金属などを油圧や水圧で押しつけて成形する技術であって、管材を用いた場合、三次元の曲げ加工ばかりでなく、特定部分の直径を大きくしたり、枝を生やしたりすることも出来るため、溶接等の接合技術を使わずに複雑形状の一体成形が可能です。そのため自動車用マフラーやエアコン配管等の加工ばかりでなく、各種部材に適用が期待され、自動車軽量化のキーテクノロジーのひとつと言われています。しかし、無制御下で加工すると、大きく変形した部分の肉厚が極めて薄くなって破れてしまうため、変形する部分に上手に材料を供給する制御技術が不可欠となります。そのため当社では、液圧を数Hzに脈流化して材料の押し込み力と同期を取り、大変形を安定して実現するハンマリングハイドロフォーミング技術等も開発してきました。

また、こうした加工技術開発を行うと同時に、当社では液圧加工要素機器の開発も実施し、サーボモーターに体積制御型の双方向ポンプを組み合せて、必要な時だけ必要な油量を供給できるDDV型油圧源も製品化しています。これにより、常時ポンプで加圧した油をサーボバルブで供給するこれまでの油圧源から、発熱、騒音、振動が大きく排除されるほか、著しい省エネルギーも実現できるようになっています。

一方、当社の三次元非接触計測技術は、被測定物表面に投影したメッシュの乱れをカメラで撮影し、その解析から三次元情報を取得するものであって、データ取得が瞬時に出来ることから、移動中や変形中の物体でも解析可能という利点があります。また欠点とされていた演算時間も、近年のコンピュータ性能の向上で解消し、ほぼリアルタイム解析が可能です。

商品力第一、営業力第二からの脱却には...

当社では、以前、毎年100件を越えるプロジェクトチームを立ち上げ、それぞれの顧客ニーズに応える特注製品を開発して、特注品80%-標準品20%という生産を重ねていました。それを近年、積み上げてきた経験を活かし、特殊な顧客ニーズの多くを標準品へのオプション付与という形で吸収して、高機能機器の納期短縮とコストダウンを実現すべく努力を重ね、特注品20%-標準品80%という目標が、ほぼ目途が立つ状況になっています。

活力ある社内体制を実現するために...

当社では、営業と技術の要員間に明確な区分を設けず、また企業能力の向上に全社的な意識改革が必要と考えています。その対策の一環として、当社では企業成績の詳細を社内に公開することで、社内各グループの寄与を明確化し、グループ内の各個人収入をこれに直接リンクさせることを目指しています。それと同時に、各自の日々の業務は日誌という形でグループ内での共有化を図り、各個人がどういう工数で寄与しているのかを「見える化」します。もちろん、社内には頑張っても業績が向上しにくい職種も存在しますので、業績の50%をグループ分とし、残りの50%は供出という体制化を進めています。

グローバル化、国際分業が言われるが...

当社の製品は、全量国内で生産され、国内向けが60%、海外向けが40%という状況であり、また現地法人を欧州、北米、東アジアに置き、MiiCブランドで販売と保守・サポートを実施しています。しかし、地域による商慣習の差や特殊事情で、中小企業としては難しい局面も多いのも現状であり、当面、海外戦略を拡張する状況にはありません。

世界同時不況からの回復の中で...

当社の扱う生産機器の寿命はかなり長く、市場の活性化にはまだ時間がかかると想定していますが、自動車会社が要求するコスト30%カットを実現するには、旧式の装置では対応不能であるため、パイプベンダーロボット等の最新機器への置き換えは必須で、追い風となることが予想されます。こうした中で三次元計測分野では、昨年、産業技術総合研究所の音頭とりの下、当社も参加してJIS化が実施でき、新たな需要が喚起できるものと期待しています。また本年度においては、中小企業新事業活動促進法(新連携)やものづくり中小企業製品開発補助金の支援を受け、パイプベンダーロボットと三次元測定機の情報連結や、シーケンシャル制御技術者が容易にCNCを活用できるインターフェイス開発等も進めています。

広大な瀬戸の陶土採掘場に隣接する工業団地内に位置する同社は、広い敷地内に夜間照明付の野球グラウンド等も有し、また大部屋内に社長の事務机も配置して氏呼称を実践するフラットな組織環境下で、高い収益性を生み出せる「社内体制の自動制御システム」が構築できるか、その真価が問われる状況に来ているとの印象を受けました。

会社概要
  • 社名:株式会社オプトン
  • 創業:1963年11月12日
  • 資本金:9,900万円
  • 代表取締役社長:與語照明
  • 従業員:125名
  • 事業内容:オプトメカトロニクス応用製品の開発・製造・販売
  • 本社:瀬戸市暁町3番地24 TEL(0561)48-3382