株式会社エフエスケー

お客様第一主義を超える価値の提供、
ものづくりを支える高精度、高度加工用工具の実現。

長く続いた寒気が去って一段落した立春前のある朝、名古屋鉄道常滑線の古見駅に近い株式会社エフエスケー本社を訪問し、竹内賢一社長にお話を伺いました。同社は、国内シェア・トップを占める小径の軸付砥石を中心として、超精密加工用の切削・研削工具とその関連商品の製造販売、および耐磨耗部品の製作サービスを実施している企業です。

創業事始

当社は、太平洋戦争の開戦直前に、古見に不二製砥所として創立したのが始まりで、それまで米国等からの輸入に頼っていた砥石が戦争で輸入できなくなったため、海軍工廠を中心に開発された技術を基に全国に製砥所が設立される中で、小径の軸付砥石を中心にした事業を開始したと聞いています。その後、一般研削砥石や切断砥石ばかりでなく、ダイヤモンドなどを用いる超砥粒砥石や焼結体工具、ダイヤモンドコーティング工具等の開発を行い、研削工具の総合メーカーとなって現在に至っています。

基幹となる技術は...


主要製造製品の一覧

研削砥石は、材料を削る高硬度の砥粒、その砥粒を固定する結合剤、切り屑を取り除くための空隙の3者で構成されており、どの様な材料を、どの様な条件下で研削したいのかによって、砥粒の材質、サイズ・形状や混合比、結合剤の材質や混合比、空孔の大きさや空隙率等が異なります。当社では、購入した砥粒や結合剤原料を元に砥石を製造していますので、使用目的に最も合致するのがどの様な砥石で、その砥石をいかに製造するかの経験と情報が、当社技術の根幹をなすものとなります。

砥石は使用砥粒により一般研削砥石と超砥粒砥石に大別され、一般研削砥石はアルミナや炭化珪素を砥粒に、ビトリファイド(陶磁器に使われる釉薬のような組成物で焼成により砥粒を固定)やレジノイド(エポキシやフェノールといった熱硬化樹脂により砥粒を固定)を結合剤に使った多孔質のものが多い一方、超砥粒砥石ではダイヤモンドやCBN(立方晶の窒化硼素、ダイヤモンドに次ぐ硬さを有する)を砥粒に、ビトリファイド、レジノイド、電着や粉末冶金等を結合剤に用いています。

軸付砥石の場合、目的に応じて、ステンレス鋼、工具鋼あるいは超硬合金製の軸を用い、一般研削砥石のビトリファイドでは別途製造した砥石を亜鉛合金・熱硬化性接着剤で接合する、またレジノイドでは樹脂硬化で一体化接合する、さらに超砥粒砥石では熱硬化性接着剤での接着や軸上に電着等で砥石を形成するのが通常です。

当社では20年ほど前に、軸付砥石でどこまで細い工具が実現できるかという技術的興味から、直径50μmのダイヤモンドの電着砥石を開発しました。当初はこのサイズの需要はほとんどなかったのですが、高度加工への要求が進み、ここ10年ほどでニーズが生まれて、現在はこれも「標準品」としてラインアップに加えています。

高い顧客満足度を得るためには...

当社では、約600種類に及ぶ砥石と関連製品を「標準品」として用意し、広範囲の顧客に即納ができる体制を取っておりますが、顧客の半数はそれでは満足できない、より高度な研削を必要としており、使用条件・使用目的に応じた砥石の設計・製作も実施しています。細径の砥石においても、特注製品では直径40μmの製造も可能となっています。

当社では顧客それぞれのニーズに応じた製品の製造も実施している関係上、その種類は膨大な数にのぼり、その製造ノウハウの管理は企業として重要な命題となっています。砥石製造という職種は古くから徒弟制が強い側面があり、ドキュメントでの管理が難しい部分がありますが、当社ではISO9000の導入を契機に、ここ10年ほどの製造伝票を全て画像処理によるファイリングとデータベース化を実施しています。これにより、安定した製品製造と効率的な新技術の提供という価値において、「お客様第一主義を進め、お客様第一主義を超える」という目標達成を目指しています。

また、砥石は高速で回転するという性格上、問題の発生は重大事故につながる可能性があります。そのため当社では、顧客からのクレームの重要性を認識し、クレームはまずトップに上げ、その意見を付けて下へ回すという体制を敷いています。これにより問題の早期解決と関係職員全員の情報共有を図っています。

さらなる高度加工の実現のために...


標準品の電着ダイヤモンド製軸付砥石、100μm直径(左)、50μm直径(右)

当社の現状では、超砥粒砥石関連が35%、一般研削砥石関連が25%、超硬刃物関連が15%、その他が25%という製品売上構成であり、近年は超砥粒砥石関連の伸びが大きい状況にあります。当社では、米国GE社でのボラゾン(CBN)砥粒の開発をうけ、世界に先駆けてビトボラ(ビトリファイド砥石)を開発・販売をした実績があり、世界的な技術動向の中でより高性能な切削工具の開発に取り組んでいます。

砥石による加工は、切削速度やコストの面では刃物による加工に劣りますが、仕上がり面の平滑さや加工精度の高さは他の方法では代替できないものがあり、今後における加工技術としても、その重要性は低下することはないと考えています。

工具製造販売事業の海外戦略としては...

当社では、平成の初頭にタイに関連会社を設立し、ダイヤモンド・CBN焼結体等の刃物を中心とした製造を開始する一方、平成10年代には砥石製造会社も設立し、東アジアでの需要に応える体制を構築しております。今後さらに世界の製造技術、特に労働集約型の3K製造技術の中心は東南アジア等に集中していくことが予想される中で、当社のように国際市場から砥粒等の原材料を調達する企業では、特殊な技術集約型製品製造は国内に残っても、一般工業製品の製造中心が同方面に移ることは必然と考えております。

活力ある企業を実践するためには...

当社で行う社内活性化の方策としては、研修制度の充実や5S活動の活発化のほかに、他所ではあまり見ないものとして、職務に無関係のものを含めた公的な資格取得を全額補助(中途でギブアップした場合には半額返金)するというものがあります。

こうした活発な企業活動環境の中で、顧客のニーズに的確に応える特殊砥石、例えば砥石の先端から冷却液が噴出して十分な冷却能力を発現できる細穴用の砥石等、一層の新技術開発に努めていく所存です。

会社概要(取材当時)
  • 社名:株式会社エフエスケー
  • 創業:1940年6月
  • 資本金:7,200万円
  • 代表取締役社長:竹内 賢一
  • 従業員:230名
  • 事業内容:軸付砥石、研削砥石、超砥粒砥石、焼結体工具等の製造販売および輸出入
  • 本社:愛知県知多市新知字中殿1 TEL(0562)55-3111