睦化学工業株式会社

空気と水以外はラミネートしよう!得意分野を生かしてニーズに合った商品の提供

 強い風が吹く晩秋の朝、名古屋第二環状自動車道清須ジャンクションの北700m、名古屋市西区の最北西端にある睦化学工業株式会の本社を訪問し、和田成博常務取締役にお話を伺いました。同社は、ポリエチレンなどの樹脂シートと紙を貼り合せるラミネート材料技術を活かして、機能性食品用包材を実現する専門メーカーで、「安定した品質と安心をお届けする」を合言葉にした企業です。

創業事始

 当社は、樹脂シート業に携わっていた創業者の先代社長が、製紙業の盛んな静岡県東部の出身で、製紙業界に多くの知己をもっていたことから、食品の包装材料としての紙とポリエチレンシートで作るラミネート材に興味をもち、その専業メーカーとして昭和41年に創業したのが始まりです。当時の食品包装は、樹脂シートをそのまま単独で使うことが常識で、一部の商品には更に古くから、ロウをコートした紙が使われていましたが、各種の機能を付与できるラミネート材は、漸次、ニーズを伸ばしていきました。当社においては特に、昭和50年代において、当時の業界常識ではポリエチレンシートの厚さが10ミクロン以上でなければ、十分な接合強度が確保できないとされていた中で、6ミクロン厚で必要強度を実現する技術を開発できたことを契機に大きく成長して、食品包装の総合メーカーとして展開し、現在に至っています。

基幹となる技術は・・・

 ポリエチレンと紙のラミネート材の製造技術としては、印刷を施したロール状の紙の上に、320℃程度に加熱溶融した樹脂を流し、双ロールで引き伸ばして圧着させています。これによって紙繊維の間に樹脂が入り込み、強固な接合が実現します。なお使用目的に応じて、二枚の紙の間に樹脂を挟んだサンドイッチ形、紙を不織布に替えたもの、2種類の樹脂層あるいは2種類の紙を用いたものなど、多様な構造のラミネート材を生産することが可能です。
ポリエチレン(PE)には焼却時に有害物となる塩素等の元素は含まれませんが、近年の地球温暖化問題の高まりもあって、樹脂部分はより薄い層が求められる傾向にあります。しかし余り薄くすると、シール強度、耐水性、耐油性、防湿性等が問題となります。そのため、同じ厚さでより高い耐油性やヒートシール性が要求される場合には、エチレン鎖の水素の一方をメチル基に替えたポリプロピレン(PP)を樹脂層に用いています。また商品の視認性が求められる場合には、透明度の高い窓材としてOPP(ポリプロピレン材を機械的に縦横に延伸して分子配向性を高め透明度を向上させた樹脂素材)を用いたラミネート材が使用されます。 

高い顧客満足度を得るためには・・・

 食品の包装材にラミネート材を使用することで、多様な機能を発現させることができます。例えばポリエチレンと紙をラミネートした当社の主要製品である「バーガーラップ」では、水蒸気は容易に通しますが、凝縮した水は通さないため、調理直後に発生する大量の水蒸気は外に逃がし、食品がベタベタになることなく、またソース等の液体が紙に染み出すことがなく、おいしくハンバーガーを食せます。そのため、国内の大手ハンバーガーチェーンに採用されており、皆様にも手にとっていただいたことがあるかと思います。またこうしたラミネート包装材は、全国のテーマパークにも採用されており、各種の食材の包装用に使われております。
その一方で、調理直後の水蒸気を逃がしてしまうと、後から再加熱した際、水分が不足してしまいますので、炊きたてご飯の冷蔵・冷凍保存袋として、水蒸気を逃がさず、内部に水分をトラップする不織布部分を設けることで、後からの電子レンジによる再加熱で炊きたての状態を再現する包装材を当社で開発し、「ふっくら君」という名称で市販しております。
そのほか、前述のOPPを窓材に用いて商品の視認性を高めた包装材の「仲見世袋」や「ちょっと見せ袋」をはじめとして、ユーザーのニーズに応える各種の食品包装資材を開発し、現在1,000種類を超える商品を市場に提供しております。

食品包装の新たなニーズに応えるために・・・

 樹脂材料の特徴のひとつに導電性の低さがあり、これによって樹脂表面に静電気が容易に帯電します。そのため、食品包装資材においても、例えば鰹節パックで、封を切ったパックから容易に花かつおが取り出せるのは、容器樹脂シート表面に導電化処理がなされているためなのです。こうした樹脂の導電化のメリットは多方面にあり、当社では、冷凍に際して生鮮食品に導電性フィルムを被せ、数千ボルトの高電圧を印加しながら急速冷凍を行うことで、生鮮食品の細胞が凍結時に受けるダメージを最小限に抑え、解凍時の品質が凍結前に近い状態となる新しい冷凍技術を、冷凍機メーカーと連携して開発しました。この急速冷凍に特化した導電性フィルムを用いたシステム「フレッシュキープ」は、包装業界で歴史と世界的な権威を誇る米国のデュポン賞に応募したところ、本年度の銀賞を取得することが出来ました。
今後とも当社では、ポリ乳酸による生分解性樹脂シートの検討等も含め、食品包装資材の高度化に取り組んでいく所存です。

インターネット時代の事業展開は・・・

 当社におけるビジネスプランとしては、BtoBが95%以上を占めており、BtoCとしては一部で行っている直販製品等が該当しますが、今後の方向性としては、世界的な事業展開を含めて、消費者との繋がりをドライブ力とすることの重要性も認識しております。
なお社内外の活性化手法として、コミュニケーションの重要性を認識しており、従業員や顧客、納入業者等との意見交換・情報交換を密に行い、経営者の思いを継続的に伝え、先の見える経営を行うべきことが必要と考えております。

会社概要(取材当時)
  • 社名:睦化学工業株式会社
  • 創業:1966年
  • 資本金:1,800万円
  • 代表取締役社長:和田 成博(12月3日現在)
  • 従業員数:70名
  • 事業内容:食品包装等ラミネート材製造販売
  • 本社:名古屋市西区浮野町144 TEL(052)502-2505