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合資会社マルワイ矢野製陶所

「作れないものはない」の信念でセラミックスのニーズに応える

 穏やかな秋晴れの一日、名鉄瀬戸線の瀬戸市最初の駅「水野」で降り、集落の狭い路地が残りながら新しい小ぶりのマンション等も建つ新旧入り混じった街並みを歩くこと数分、合資会社マルワイ矢野製陶所本社セラミックス工場(瀬戸市北脇町216)を訪ね、矢野仁代表社員にお話を伺いました。通された応接室には、創業者(初代)のお父様(現地の旧行政区画である八白村・旭村の村長であられたとのこと)からの代々の写真や賞状が飾られ、創業128年の歴史が感じられました。同社は、理化学機器や耐摩耗部品等のファインセラミックスを主な製品として生産を行うとともに、顧客のニーズ、に応えて新しいセラミックス製品の受託開発等も各種実施し、新しい製品を常に世に送り出している企業です。

創業事始

 当社の起源は、1887年に洋食器製造で尾張瀬戸駅近くに創業し、8年後に低圧碍子製造に転業した山徹製陶所に遡ります。1935年に2代目が事業を継承して矢野製陶所を設立し、碍子とともに碍管の製造を開始しました。1957年には現在に至る合資会社マルワイ矢野製陶所が創立され、元々は住居であった現在地に工場を新設してアルミナ抵抗管の製造を手掛け、翌年本社を現在地に移転しました。その後、1976年に3代目が社長就任すると、マグネシア等の高機能セラミックスの製造を開始していきます。大きな転機は1999年で、前年に技術提携した三菱マテリアル鮒がセラミックス製造事業から撤退するに当たり、同社の電融マグネシアセッタ一事業を移管してCIP(冷間等方加圧)装置等を購入し、椴密マグネシアや鍛密アルミナの製造を開始してファインセラミックス分野に進出しました。以後、殺密ジルコニア、溶融シリカ等製造品目を増加させるとともにセラミックス加工事業を拡大し、2004年に第2工場(瀬戸市共栄通)を開設しました。2006年に私(矢野仁氏)が4代目として代表に就任し、理化学機器事業や耐火物事業の拡大を進めています。また、熱膨張率が極めて小さく耐熱衝撃性に優れたチタン酸アルミニウムの製造やグラファイトの加工を開始しています。現在、本社をセラミックス工場として、第2工場及び第3工場(瀬戸市中水野)を加工工場として整備中です。

基幹となる技術は...

 当社は売上3億円程度で、高品質なファインセラミックス製品としての、理化学機器、耐摩耗部品、金属溶解ルツボ、ヒーター用絶縁管などが売り上げの多くを占めます。現在の製品の7割以上が1999年のファインセラミックス分野進出以降のここ15年以内に開発されたものです。当社の特色としては、三菱マテリアル附より継承した高度なCIP成形(ラパープレス)技術をはじめ、鋳込み成形、プレス成形、押出し成形と各種の成形技術に加え、十数台のNC加工機と3D・CADCAMを駆使した精密加工が可能なことで、創業事始の項に記したアルミナ、マグネシア、ジルコニア等各種材料の製造について保有している技術と併せ、「最適な材料を用い、最適な成形方法を使ってニーズに最もマッチした製品を製造できること。」が挙げられます。このため、ユーザーのニーズに応じた高性能な高級部品を、鉄鋼や非鉄金属、電池関係といった各種企業へ直接販売をしているものが製品の多くを占めています。

高い顧客満足度を得るために...

前述のように各種原料、各種成形法が適用できるため、例えばステンレス鋼と同じ熱膨張率のセラミックスが欲しい、高強度の断熱材が必要など、既製品では対応できないセラミックスの各種特性(熱膨張率、熱伝導率(断熱性)、導電性(絶縁性)等)についての顧客のニーズに応えるため、受託開発を行っています。年に4~5 件は企業からの受託開発あるいは企業との共同開発を実施しており、原料から新製品を開発する場合は、通常1年以上、長いものでは5年程度に及びます。例として、2003年にマグネシア系の燃料電池用の部品として材料開発を行い、同年度に大手燃料電池メーカーの最優秀改善提案を受賞した技術が、現在では当社の主要技術のーっとなっている他、大手電機メーカー・国内自動車メーカー・大手重工業所から依頼されて新素材の開発をしています。
 

新技術開発への取り組み

 前述の受託開発と併せ、この5年程度の聞に経済産業省のサボイン事業や中小企業庁のものづくり補助金、愛知県の新あいち創造研究開発補助金等に応募採択され、機器の導入や試作品の開発等を行い、材料開発や成形法などに関し様々な研究開発を積み重ねてきました。一例として、科学技術交流財団の平成24年度企業連携技術開発支援事業では、高温や振動等の環境でも長時間安定した測温が可能な白金熱電対を試作しています。最近は、セラミックスの応用先のさらなる拡大を図り、医療材料への展開を目指して開発を進めています。まだ具体的な内容は公開できませんが、医療の分野でもお役にたでればと考えています。また、近年の3Dプリンタの進展に伴い、3Dプリンタでファインセラミックスを製造する技術開発にも取り組んでいます。

瀬戸の陶磁器産業の発展を目指して...

 現在、私(矢野仁氏)は、愛陶工(愛知県陶磁器工業協同組合)の副理事長も務めています。当社は「作れないものはない」という精神で顧客のニーズに応えるべく技術開発に努めていますが、瀬戸の街自体も「瀬戸に来れば、セラミックス製品で手に入らないものはない」と全国の方が思っていただけるようになることを理想に、微力ながら瀬戸の陶磁器産業の発展に尽くす所存です。

会社概要(取材当時)

社名:合資会社マルワイ矢野製陶所
創業:1887年
資本金:800,000円
代表社員:矢野 仁
従業員数:35名
事業内容:セラミックス製品の開発・製造ほか
本社:愛知県瀬戸市北脇町216番地 TEL(0561)82-6232