ヤマキ電器株式会社

次の百年を目指して

 9月終わりの午後、尾張旭市の本地ヶ原で国道363号線から北に少し入ったところに立地するヤマキ電器株式会社旭工場を訪ねました。ヤマキ電恭株式会社は高圧配電用碍子などのセラミックス製品を扱う会社で、本社は瀬戸市中心部にありますが、当日は加藤陽太郎社長が旭工場に来られており、小野田茂工場長と共にお話を伺いました。事前に準備していただいたパワーポイントによる会社案内を加藤社長自ら丁寧に説明していただき、その内容から、社是である「堅実経営」「研究開発」「奉仕」に沿った経営を十分に感じることができました。

創業事始

 当社は、1897年に電磁機製品の問屋を営むヤマキ商庖として創業し、来年で創業120年になります。1949年にヤマキ電滞株式会社を設立し、1961年には新居工場(現尾張地市)を新設して高圧配電用機器碍子の製造を、1963年には池田工場(瀬戸市)を新設して汎用スイッチ製造を開始しました。1968年にはここ旭工場を新設して高圧配電用機器碍子の増産を行いました。その後、各工場を増設するとともに、1984年に遠赤外線ヒーター、1987年に食器用磁器容器を製造開始しました。また、2004年に焼結石英の研究を開始してファインセラミックス分野にも展開を区間、製品化するとともに、現在も研究開発を実施しています。なお、2012年から私(加藤陽太郎氏)がヤマキ電器(株)として4代目の社長をしています。
 現在は、旭工場で高圧配電用機器碍子を、新居工場で食器用磁器容器と遠赤外線ヒーターを主に製造しています。

基幹となる技術・製品は...

 当初は鋳込成形法(石官型に原料のスラリーを流し込み、型に水分を吸収させて型表面で原料を固化させ、成形物を得る方法)を用いた陶磁器製品の製造を主に行っている会社です。当社の年商は約11億円で、その半分から6割は電力会社向けの高圧配電用機器碍子(カットアウト)です。これは、電柱にあるトランスの保護に用いるもので、全国の電力会社に納められ、市場占有率は50%となっています。この碍子製造には当社独自の圧力図形鋳込成形法を用い、大型・肉厚製品の鋳込成形を可能にしています。成形から完成までに2週間程度を要し、円柱形、箱型の2極の碍子を製造しています。社会インフラを担う碍子として、各電力会社の厳しい要求に応える高品質で安定した製品の供給を行っています。

名物に欠かせない商品も...

 横浜「崎陽軒のシウマイ」は全国的に有名ですが、その中に入っている磁器製醤油入れ‘ひょうちゃん’を当社が製造しています。1955年に漫画家横山隆一画伯がひょうたん型醤油入れを見て、「私が目鼻をつけてあげよう」と言いながら様々な表情を描かれ、横山氏自らこれに‘ひょうちゃん’という愛称を付けられました。絵柄は、いろは48文字にちなみ48種です。その後1988年、崎陽軒の創業80周年を記念してイラストレーター原田治さんの絵柄80種類になりましたが、2003年の「昔ながらのシウマィ」のリニューアルに伴い、横山隆ーさんデザインの復刻版となりました。昨年は絵柄が入って60年、還暦ということで赤と金の‘ひょうちゃん’を特別に製作しました。現在は、磁税容器の製造については外製が多くなりましたが、当社で醤油を詰めて出荷しています。月産60~70万個で、これまでに3億個は日本中に出回ったことになります。この他の食器用磁器容器も含めて売上げの2割を占めます。

ニーズに応じた各種製品の提供を...

 当社では加熱効率のよい工業用途赤外線セラミックヒーターをユーザーの要望に応じて製造しており、食品・樹脂・半導体分野などで使われています。またその展開として、各種デザインの茶道用の電気炉(火鉢型:炭を模した遠赤外線ヒーターを組込み)をー般用に開発、販売しており、最近は国内のみならず中国向けが多く出荷されています。売上げの1.5割程度をヒーター類が占めています。
 変わったところでは、2013年に神奈川県相模原市の北里大学病院の新病棟の窓など関口部の外部に設置するルーパー(CC[クリスタルセラミック]ルーバーと命名)を作製しました。これは長さ2.7mのセラミックスを12本すだれ状にしたもので、外の風景は見えつつ直射日光を巡り、セラミックスに反射したやわらかな光を室内に導入するとともに、優しい外観を与えます。1本7kg位あり、当社で従来経験のない大きさの鋳込成形でしたが、2万2千本を納入し、好評を得ています。

技術開発と将来への展望は...

 ファインセラミックス分野の研究開発として、石英粉体をプレスし焼結する焼結石英をメーカーと共同で行い、プロジェクタ反射鏡や音響用インシュレーター(スピーカーボックスの台部分)を製品化しています。また、当社が得意とする圧力鋳込製法を応用展開し、高純度アルミナ等のファインセラミックス製品の開発・販売をスタートさせました。これを事業の第3の柱に育て上げ、引き続き電力と食文化の安定供給の責務を果たしつつ、「次なる百年に向かって」着実に歩を進めていきます。

会社概要(取材当時)

社名:ヤマキ電器株式会社
創業:1949年
資本金:3,600万円
従業員数:90名
代表取締役:加藤 陽太郎
事業内容:碍子、食品磁器容器等各種セラミックス製品の製造・販売
本社:愛知県瀬戸市宮脇町4番地 TEL:(0561)82-2187