株式会社イハラ合成

新たな技術でもう一歩先のリサイクルを!

 皐月の穏やかな日差しの中、名古屋高速の高架が伸びる名古屋市営バスの円上バス停から小規模な工場や商店、住宅街が入り混じる準工業地帯を歩くこと5分、高辻のシャンピアポートにもほど近い(株)イハラ合成を訪ね伊原歳博会長にお話を伺いました。
 プラスチックのリサイクルを行う企業という事前情報のもと訪問しましたが、一般的にイメージする資源ごみ等のリサイクルとは全く異なっており、高性能プラスチックをその性能を落とさずに再生利用し、また用途拡大等により有効利用するための、様々な工夫や、新たな技術開発への積極的な取り組みを知ることができました。

創業事始

 当社は、1975年に再生プラスチック回収加工販売を行う伊原商店として創業しました。当初はPP(ポリプロピレン)やPE(ポリエチレン)といった汎用プラスチックを扱っていましたが、1978年からは粉砕加工ができる設備を導入し、エンジニアリングプラスチック(耐熱性や強度に優れた工業用プラスチック。以降「エンプラ」と記述)の取扱いを開始しました。1990年に私(伊原歳博氏)が社長となり、1992年現在地に新社屋を竣工した後、1995年にこれまでの事業を引き継いで有限会社イハラ合成を設立しました(1998年に株式会社化)。事業展開としては、エンプラの取扱いに重点を置き、ルーダー機(押出機)などを導入してプラスチック成型時の端材やパウダーのベレット加工を開始、2002年には事業拡大により武豊工場を新設しました。また、2009年に環境省のエコアクション21を取得し、環境への取組を進めるとともに、同年から再生プラスチックの高性能化などの研究開発を補助金事業や大学等との共同研究によって継続的に実施しています。

基幹となる技術・製品は…

 現在の当社の事業は、エンプラに特化したプラスチックのリサイクルです。自動車部品メーカー(耐熱温度の高いプラスチックが多い)と弱電部品メーカーの成型工場から出た、成分等の素性が明らかな端材等を買い取って再生処理しています。また、再生した原料ペレットは、主に事務機器向けに販売しています。月当たりの出荷量は100トン程度です。
 扱っているプラスチックの種類は、PA(ポリアミド=ナイロン)が40~50%で、その他LCP(液晶ポリマー)、POM(ポリアセタール)、PBT(ポリプチレンテレフタレート)、PC(ポリカーボネート)、TPS(スチレン系熱可塑性エラストマー)などです。

高い顧客信頼度を得るために…

 当社の特長は、①ガラス繊維入りも含むインサート品(金属等と一体化した部品)を有償で引き取りリサイクルを行っていること、②再生プラスチックの特性を上げる工夫をしていること、③エンプラに特化してリサイクルを行っていることです。
 ①は、特にPAの部品ではインサート品が多く金属等の分離に手聞がかかりますが、当社では早くから機器を導入して分離を自動化しているため、引き取り可能なことが強みです。②は、一般には再生品の特性を上げるためリサイクル材に20%程度のパージン材を加えますが、それではリサイクルの意義が薄れるため、当社では再生品同士の混合や再生品中のガラス繊維の配向を行うことなどで特性の向上を図り、現在もさらなる研究開発を進めています。③は、プラスチックのリサイクルを行っている企業は数多くありますが、エンプラに特化した企業は国内で数社にとどまります。

技術開発による再生品のさらなる用途拡大に向けて…

 リサイクル業界では2010年前後に‘中国バブル'と言われる回収廃棄物を海外へ大量ーに出していた時代があり、リサイクルの印象が今もよくない部分があるように思います。そこで、再生品でも優れた特性のプラスチックを得るため、2009年から中部大学と「高性能リサイクルプラスチックに関する研究」で共同研究を開始しました。2009年度と2013年度にものづくり中小企業製品開発等支援補助金、2016年度に新あいち創造研究開発補助金の交付を受け、リサイクルプラスチックの特性向上・用途開発に向けた研究開発を行ってきました。
 2015年度には科学技術交流財団の企業連携技術開発支援事業に採択され、「繊維強化プラスチックを再生利用する工業用ブラシの試作」をテーマに、ガラス繊維強化PAを線材化して工業用ブラシに再生利用した長寿命のブラシを試作しました。この線材化技術は、2013年に中部生産性本部が主催する革新的製品創出サロンに参加し、ニーズ情報提供企業、あいち産業科学技術総合センター、愛知県知財総合窓口との密接な関係が構築できたことが原動力となり、生まれたものです。共同研究も、中部大学を始め名古屋工業大学、名城大学、宇都宮大学、あいち産業科学技術総合センターなどと実施しています。

将来への展望は…

 大学等との共同研究でいくつかの特許を共同出願しています。その中に、当初「不可能」と言われていた熱硬化性樹脂をリサイクルして熱可塑性樹脂にするという技術があります。このように、まだ世の中にない技術を確立したいという希望が私にはあります。新しいリサイクル技術により、廃棄するプラスチックを合わせて新しい製品にすることを目標に、これからも技術開発を進めていきます。

会社概要(取材当時)

社名:株式会社イハラ合成
創業:1995年
資本金:1,000万円
従業員数:13名
会長:伊原 歳博
事業内容:合成樹脂再生加工販売
本社:愛知県名古屋市昭和区白金3-2-26 TEL:(052)882-1838
武豊工場:愛知県知多市武豊町字ヒジリ田107