産業界への情報発信と大学発ベンチャーの活躍

■展示会出展による情報提供と交流活動
 当財団が推進している知的クラスター創成事業「ナノテクを利用した環境にやさしいものづくり」は、平成16年度は、名古屋大学、名古屋工業大学、名城大学の研究シーズを産業界に結びつけるため、共同研究企業の模索や研究成果の事業化・実用化など、産業界との連携を重視した企業のニーズの確認と情報収集に力を入れた展示会出展による広報活動を重視した活動を実施してまいりました。
 展示会は、ナノテクノロジーによるビジネスを目的とした「日経ナノテク・ビジネスフェア」、全国各地の研究開発、産学連携の取り組みが一同に会した「地域発先端テクノフェア」などの全国規模を対象とした展示会を始め、クラスターの地盤となる中部地域の研究開発、産学連携が一同に会した「産学交流テクノフロンティア」に出展しました。
 来場者からの質問や意見交換で、研究成果に対する意見や企業ニーズを聞き取ることができ、今後の事業推進に向け、大変参考になりました。

■平成16年度成果報告会を実施しました。
 経済産業省が推進する産業クラスター計画と、文部科学省が推進する知的クラスター創成事業・都市エリア産学連携事業が、地域の優位性を生かしたものづくりの集積を形成することを目的に一同に会し、成果発表を行う「東海地域クラスターフォーラム」が、平成17年2月16日に開催されました。
 知的クラスター創成事業は、研究成果の展示と、今年度の活動報告となる成果報告を行いました。
 成果報告には100名以上の来場があり、大盛況の中、発表が行われました。
展示では、報告を行った研究成果の展示を中心に、知的クラスター創成事業発のベンチャー企業であるNUエコ・エンジニアリング(株)、(株)エヌ工房が展示・説明を行い、来場者との質問、意見交換がなされました。

■成果発表会の内容
発表テーマと発表者 発表内容
知的クラスター創成事業の取り組みについて
知的クラスター創成事業本部 事業総括 竹中 修
今年度のクラスターの取り組みを中心に、進展している研究概要と、ベンチャー企業の創出などのトピックス
バイオミメティック・ナノテンプレートの開発とエヌ工房(大学発ベンチャー)の設立
名古屋大学エコトピア科学研究機構 教授 高井 治
超薄膜生成技術である「SAMナノパターニング開発」の研究解説と、高井研究室の研究成果から生まれたベンチャー企業エヌ工房の設立ととりくみ
単層カーボンナノチューブの大量製法と用途開発
名城大学理工学部材料機能工学科 教授 安藤 義則
新機能材料として注目されるカーボンナノチューブをネット状で大面積に精製できることとその応用の可能性の解説
環境・生体関連物質センシング装置の開発
名古屋工業大学大学院工学研究科 教授 木下 隆利
有害物質を吸着すると、リトマス試験紙のように色の変化し、物質の構成を検出する研究と試作機の解説
 

■知的クラスター創成事業発の第2号ベンチャー「株式会社エヌ工房」の設立
 「ナノテクを利用した環境にやさしいものづくり」の実現において、常に最適条件でのナノオーダーの超微細加工が自律的に行うことのできる「自律型ナノ製造装置」開発のコア研究機関である名古屋大学による、知的クラスター創成事業発のベンチャー企業の創出が活発化しております。
 「SAMナノパターニングシステム開発」の研究リーダーである名古屋大学の高井治教授(エコトピア科学研究機構副機構長)の研究領域である、SAM(自己組織化単分子膜)と呼ばれる厚さ数ナノメートルの超薄膜を生成する技術をもとに、知的クラスター創成事業発の第2号ベンチャーとなる株式会社エヌ工房が、平成16年9月16日に設立され、技術の開発者である高井教授と、同大学工学研究科の齋藤永宏助教授がともに取締役に就任(兼業)しました。
 株式会社エヌ工房は、超はっ水性と親水性を示すSAMを自在に生成させ、人工血管の作成や胚性幹細胞の培養など、従来不可能であった生体組織の立体形成が可能な再生医療を支える培養チップの製造を行うともに、その製造に必要な有機分子成膜装置、真空紫外光露光装置など、各種成膜装置類の設計、開発、製造に取り組んでおります。
 既に大学を始めとした研究機関に対し、製品を販売、納品しており、順調に事業を開始しております。

【株式会社エヌ工房】

代表取締役 澤田和成
設立 平成16年9月16日
所在地 名古屋市昭和区川名町5丁目36番地の4
資本金 1,000万円
連絡先
TEL 052-759-5331 FAX 052-759-5335
E-Mail ncobo@mbn.nifty.com

基板光洗浄及び有機超薄膜光ナノパターニング装置

■名古屋大学堀教授によるカーボンナノウォールの発見
 「ナノアセンブリングシステム開発」の研究リーダーである名古屋大学の堀勝教授(大学院工学研究科電子情報システム専攻)は、ラジカルセンサー及びラジカル制御によるプラズマプロセス技術を用い、世界に例のない斬新な炭素分子の構造体である「カーボンナノウォール」を発見、それを高精度に作製することを可能としました。
 堀教授はその実用化に向け、半導体商社である丸文株式会社と共同研究契約を締結しました。
 同時に、堀研究室発の知的クラスター創成事業の第1号ベンチャーであるNUエコ・エンジニアリング株式会社が、丸文と代理店契約を締結し、装置の製品化、事業化に向けた研究開発を行っております。

「カーボンナノウォールの拡大写真」

 知的クラスター創成事業は来年度、中間審査を受ける3年目を迎え、これまでの活動の成果が問われます。
 ベンチャー企業の創出や、研究成果の商品化などの取り組みをはじめとして、今後も産業界のニーズを把握し、知的クラスターの持つ大学の研究シーズと、企業ニーズのマッチングによるナノテクものづくりクラスターの形成に向けて、事業を推進してまいります。


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