共同研究促進事業(過去の共同研究事業)

平成10年度 研究成果

「遺伝子導入法を用いた高性能人工皮膚の開発およびその臨床的有用性の拡大」

【研究リーダー】

名古屋大学大学院医学研究科 教授 上田 実 氏

【共同研究機関】

名古屋大学、(株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J−TEC)

【研究目的と概念図】

○研究目的

本研究では培養皮膚の生着率および治療効果を高めるため、遺伝子導入法を用い、より高性能な培養皮膚を開発することを目的とする。すなわち、移植する培養皮膚に抗菌作用および周囲組織の増殖作用をもたせ、移植部における皮膚組織の再生を期待するものである。本研究が完成した場合、全身熱傷などの広範囲皮膚欠損に対してより高い治療効果が期待できるばかりか、他の人工臓器開発への波及効果も大きく医療の一端を担うと考えられる。

遺伝子導入皮膚の概念図

【研究成果の概要】

各テーマごとの研究成果の概要は次のとおり。

1.口腔粘膜細胞および表皮角化細胞を用いた高性能人工皮膚の開発(名古屋大学)

(1)レトロウイルスベクターを用いた遺伝子導入細胞の作製およびシート作製

表皮角化細胞および口腔粘膜上皮細胞については、通常の培養条件下において遺伝子導入が困難であることが明らかとなった。そこで、培養初期には無血清培地を使用し、その後、血清含有分化誘導培地を用いて培養を行った。その結果、十分な遺伝子発現可能な培養表皮ならびに培養粘膜上皮が完成した。

(2)至適遺伝子導入メディアの検討

遺伝子導入メディアとして、カチオニックリポソームおよび遺伝子銃を用いて行った。リポソーム法ではレトロウイルスと比較して、若干導入効率が劣るものの、種々の補助タンパク(因子)を付加することで目標とする遺伝子導入効率を得ることができた。また遺伝子銃は、完成した培養表皮および培養粘膜上皮に直接応用することができるために、われわれの目的とする多機能培養上皮を作製する際には、有利であることが示唆された。

(3)機能性タンパクの局所発現および全身発現について

目的の如く、血液凝固第9因子遺伝子を導入して、培養細胞にこの因子を発現させた。その際、培養中の培地にこの因子が放出されていることが確認できた。また遺伝子導入した培養上皮をヌードマウスへ移植し、末梢血中にこの因子の放出が認められた。さらに、ザーペシン遺伝子を用いた抗菌作用を有する培養上皮の作製については、培地中へのこれら抗菌作用物質の放出が明らかとなっており、臨床応用への期待が大きい。

2.口腔粘膜上皮および培養表皮の大量生産および品質管理法の確立(ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング)

(1)口腔粘膜細胞の培養方法確立/作業行程のマニュアル化

ハード面においてはJ-TECの設立に伴い、種々の詳細な項目に至る管理体制に裏付けられた培養システムを構築することができた。これらは、サンプルの感染に起因するクロスコンタミネーションの可能性をできる限りなくしており、今後、同様の事業を行う際の指針として示すことができるものである。また、これらを取り扱う作業工程についても各種マニュアルが完成しており、それぞれFDA /GMP21CFR800、厚生省/生物製剤(医薬品)GMPへの対応を念頭に置いたものとなっている。

(2)培養行程における一部ロボット化の検討培養操作(特に培地交換)に関するロボット化の方向性を示唆することができた。(この方向性に基づきNEDOのコンソーシアムにおいて自動培地交換システムを開発した。(写真参照))また凍結保存における温度管理などの一元化システムを確立した。

(3)遺伝子導入細胞を用いた培養表皮および培養粘膜上皮の作製への対応

遺伝子導入操作におけるクロスコンタミネー ションについて、可及的に防止することが可能となった。さらに、これら細胞の安全性については今後の課題である。

培養皮膚による治療システム

【成果発表会の開催】

本共同研究の成果を広く内外にPRすることを目的に平成13年10月5日(金)名古屋銀行協会5F大ホールにおいて成果発表会を開催しました。当日は産業界、学界、行政から112名の出席者を集め、上田教授による講演及び畠助教授、大須賀取締役による成果報告が行われ、マスコミの取材などもあり盛況に行われました。

本研究の主な業績
本研究の主な業績
論文(件) 学会発表・講演
7 19
特許出願の紹介
特許出願の紹介
遺伝子導入細胞シート 血液凝固因子、インシュリン、成長因子、腫瘍抗原遺伝子などの
対象遺伝子が導入された複数層の粘膜上皮細胞からなる
遺伝子導入シートおよび作製方法

【成果発表会の開催】

本共同研究の成果を広く内外にPRすることを目的に平成13年10月5日(金)名古屋銀行協会5F大ホールにおいて成果発表会を開催しました。当日は産業界、学界、行政から112名の出席者を集め、上田教授による講演及び畠助教授、大須賀取締役による成果報告が行われ、マスコミの取材などもあり盛況に行われました。

上田教授による講演
上田教授による講演
畠助教授による成果報告
畠助教授による成果報告
発表会風景
発表会風景

このページの先頭へ


  (過去の共同研究事業)

 事業概要

 研究テーマ

 研究成果