共同研究促進事業(過去の共同研究事業)

平成9年度 研究成果

「人間の情報処理機構に基づくソフトコンピューティング技術の開発」

自律型歩行ロボット

環境変化に対応し自律的に歩行方法を変えるロボット

研究リーダー

名古屋大学 大学院工学研究科 教授 大熊 繁 氏

研究体制とサブテーマ

本研究は、財団法人名古屋産業科学研究所との共同研究である「創発型ソフトコンピュータの開発プロジェクト」の一部で、科学技術交流財団は「人間の情報処理機構に基づくソフトコンピューティング技術の開発」のテーマを分担し、名古屋産業科学研究所は「遺伝的アルゴリズムとハードウェア化」のテーマを分担しています。今回のテーマ「人間の情報処理機構に基づくソフトコンピューティング技術の開発」のサブテーマは次のとおりです。

テーマ1 記号処理(認識・判断)システムの開発

論理表現としての「記号」を効率良く処理するための方法論、ならびに記号を用いることでより柔軟なシステムを構築するためのアルゴリズムの開発を行います。これにより、人間の知的情報処理機構の実現を図ります。

テーマ2 信号処理(物理情報取込・取出し)システムの開発

物理表現としての「信号」からシステムが必要とする情報を的確かつ効率良く獲得するための方法論の研究、ならびに新しい信号処理アルゴリズムの開発を行います。

テーマ3 記号・信号処理(記号・信号の変換)システムの開発

論理表現としての「記号」と物理表現としての「信号」の効率の良い相互変換システムの開発を目指します。さらに、記号から信号の制御および信号から記号の制御を実現するハイブリッドコントロールシステムの開発を行います。

【研究成果の概要】

各テーマごとの研究成果は次のとおりです。

テーマ1 記号処理(認識・判断)システムの開発

論理表現である記号を用い、本研究で開発したシステム論を用いることで従来用いられてきたシステムモデルをより人間の情報処理機構に近い形で表現することが可能となり、知的システムの構築が容易となりました。さらに、自動搬送システム等の動作手順自動獲得手法が開発されました。この手法はメカトロニクス産業における幅広い実用が期待できます。(動作手順自動獲得手法については「特許の紹介」を参照)

テーマ2 信号処理(物理情報取込・取出し)システムの開発

物理表現である信号から知識を獲得するための方法論、信号系列からの知識集積に対するアルゴリズム等が開発されました。数値による従来の信号処理手法とは異なり、信号系列から状況に応じた情報を適切かつ効率的に選択することが可能となり、知的信号処理システムの実現が可能となりました。

テーマ3 記号・信号処理(記号・信号の変換)システムの開発

論理表現である記号と物理表現である信号を相互変換するためのアルゴリズムの開発、ならびに記号と信号の相互作用によりシステム制御を行うハイブリッドコントロールアーキテクチャの構築が実現されました。従来手法ではなし得なかった記号・信号を同時に用いた知的制御システムが構築可能となりました。さらに、環境変化に対応するパターン認識、記号・信号の融合を実現したことによりインテリジェントな制御が実現可能となりました。(これらにより文末に示す歩行ロボットのプロトタイプが製作されました。)

本研究の主な業績
年度 論文(件) 国際会議 口頭発表
平成9年度 12 6 19
平成10年度 22 8 48
平成11年度 46 30 39
合計 80 44 106

特許出願の紹介【結果を実現する準最短動作順を検索する方法】

(名古屋市、名古屋産業科学研究との共同出願)

シーケンス制御において開始状態と終了状態が決められていて、その途中の経路が未決定である場合、開始から終了までの動作時間できるだけ短くなるような動作を少ない計算量でもとめる発明です。具体例として下図のWork地点の荷物を複数のレーンとクレーンを利用してPort地点へ運ぶ場合、最短な動作順を少ない計算量で求めるものです。(装置が複雑になったり、使用条件が追加されても対応が可能です。)

結果を実現する準最短動作順を検索する方法

【今後の展開(各種産業への展開)】

自動車関連産業においてITS(Intelligent Transport System)などに本研究で開発したアルゴリズムを適応することにより、現在の地図情報の表示のみならず、各種の情報を選択して表示することが可能となります。その結果、渋滞の解消のみならず交通システム自身の大幅な改革を促進します。また、本研究で開発したアルゴリズムを工作機械に適応した場合、加工対象のモデリングとその結果から加工に関する各種パラメーターの設定等を実現しやすくなります。またFA(Factory Automation)に適応した場合、荷物の搬送工程や組み立て手順の自動化等が容易に実現可能となります。

このように本研究の成果は東海地区の各種産業分野の新たな展開を見出すことができると言えます。

【成果発表会の開催】

本共同研究の成果を広く内外にPRすることを目的に平成12年9月29日(金)名古屋銀行協会5F大ホールにおいて成果発表会を開催しました。当日は産業界、学界、行政から130名程度の出席者を集め、基調講演・成果報告とともに、各研究グループによるポスターセッションや移動ロボットの展示などもあり盛況に行われました。

大熊リーダーによる成果報告
大熊リーダーによる成果報告
ポスターセッション風景
ポスターセッション風景
自律型歩行ロボット
自律型歩行ロボット

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