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新分野技術移転研究会

大学等が有する先端技術や新分野技術にかかる技術シーズを地域企業に紹介することにより、先端技術の活用や新規分野への進出意欲を高揚し、地域産業の新展開及び新規産業の創出を推進することを目的に、研究会を開催しました。

開催概要結果

本研究会は、総合講師、講師及び参加者から構成し5回シリーズで実施し、大学教授及び当該教授の研究成果を実用化した企業の担当者を講師に、毎回それぞれの研究内容及び実用化事例等について講演して頂きました。

期間 平成15年8月21日(木)~平成15年11月13日(木)まで(全5回)
場所 愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター(→所在地等
一宮市大和町馬引字宮浦35 電話:(0586)45-7871
受講料 3万円(5回分)

開催計画

開催日時 講師(敬称略) 講演内容
  第1回~第5回(総合講師) 岐阜大学教授 岡村 政明 技術シーズの実用化における課題と今後の対応
1 8月21日(木)13:30- 名古屋工業大学教授 山田 保治 機能性高分子材料の特性と応用分野
2 9月11日(木)13:30- 岐阜大学教授 松居 正樹 機能性色素の特性と応用分野(感光体等)
3 10月2日(木)13:30- 岐阜大学教授 長澤 透 微生物反応の化学工業への応用
4 10月23日(木)13:30- 名古屋工業大学教授 中村 隆
大同メタル工業(株) 担当者
生産工程における環境負荷の低減技術
5 11月13日(木)13:30- 岐阜大学教授 三輪 實
(株)ナック
代表取締役 中島 洋司
高分子フィルムの多機能化 -応用事例-

講師研究内容一覧

第1回

実施日時と場所 平成15年8月21日(木) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 名古屋工業大学
共同研究センター教授(つくり領域・産業戦略工学担当) 山田 保治 氏
研究内容・
実用化事例等
産業技術の進展に伴って材料に要求される特性が益々高性能、高機能化している。このような工業材料に求められる要求特性を満足する高性能、高機能な高分子材料を分子設計し、その合成と特性に関する研究を行っている。具体的な研究テーマは次の通り。

1) シリコン(シロキサン)変性ポリイミド(SPI)の合成と応用
SPIはポリイミドが有する耐熱性、機械的特性、気体分離特性に、シリコン(シロキサン)が有する電気特性、接着(密着)性、気体透過性、表面特性を付与し、両成分が有する特性を併せ持った高性能ポリイミドである。その合成、構造と特性および電子材料、気体分離膜への応用について紹介する。
応用分野:電子材料(フィルム、CCL等)、層間絶縁膜、多層基盤用接着フィルム、シート(ボンディングシート)、分離膜、高耐熱繊維

2) デンドリックポリマーの合成と特性
分子の形状がほぼ球形で、その直径も数nmから十数nmの単一分子量の高分子であるデンドリマーは、その表面はもとより内部骨格にも種々の機能性基を、また、内部に様々の疎水性や親水性の空孔を導入することができ、直鎖上高分子にはない機能や性能を付与することができる特徴あるポリマーである。その合成と機能性材料への展開について解説する。
応用分野:多機能高分子材料(高分子医薬、DDS等)、高分子ナノ微粒子

3) 有機-無機ポリマーハイブリッド材料(HBD)の合成と特性
有機高分子と無機化合物(シリカ、アルミナ、チタニア等)を分子レベルで分散、複合化したHBDはナノコンポジットあるいはモレキュラーコンポジットと言われ、有機成分と無機成分の両特性をもつだけでなく、新たな特性を持つ先端材料として期待されている。PMMA-シリカハイブリッドの合成とその特性について概説する。
応用分野:成形材料、複合材料(ナノコンポジット、モレキュラーコンポジット)、ハードコーティング剤、塗料、建材、ハイブリッド繊維

このうち、1)は企業で既に電子材料として製品化している。3)は企業と共同で、実用化に向けて現在検討中とのことであった。

第2回

実施日時と場所 平成15年9月11日(木) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 岐阜大学工学部 機能材料工学科 教授 松居 正樹 氏
研究内容・
実用化事例等
機能性色素の合成と性質に関する研究を行っている。具体的な研究テーマは次の通りである。

フッ素を含む色素の合成と性質
ペルフルオロアルキル基や芳香環にフッ素を含む各種色素の合成とそれらの紫外可視吸収スペクトル等について。二色性色素や二次の非線形光学材料への応用。

新規色素の合成と性質
強い電子供与部位を含む色素、固体での蛍光、電子輸送材料、蛍光ラベル化剤について。

色素のオゾン分解反応機構
各種色素のオゾン退色機構。

現在、色素は衣服の染色のみではなく先端技術の分野でも使用されている。これらの色素は機能性色素と呼ばれ、複写機の感光体、CD-RやDVD-Rの色素としても利用されている。研究成果の一部は駅の時刻表示板に活用されている。

第3回

実施日時と場所 平成15年10月2日(木) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 岐阜大学工学部 生命工学科・応用分子生物学 教授 長澤 透 氏
研究内容・
実用化事例等
微生物の優れた潜在能力を見出し、これを解析し、有効に利用することを目的とした研究が主である。特に最近は化学工業に微生物反応を導入し、環境に優しい新規生産プロセスの確立を目指している。
具体的な研究テーマは次の通り。

1) ニトリル変換酵素を用いた有用アミド、酸類の生産研究
既にアクリルアミド、ニコチンアミドの工業生産は実用化された

2) 微生物の水酸化反応を用いた天然資源ロジンの有効利用に関する研究
松ヤニのロジン骨格の医薬等への用途を広める

3) 微生物の生産するポリリジンの生合成、生分解に関する研究
ポリリジンは食品保存剤として既に利用されており、さらに高分子化させれば、抗菌素材等の新しい用途が開ける可能性を探る

4) 微生物の脱炭酸酵素を利用した新しい炭酸固定に関する研究
芳香環に直接的のCO2を固定化させる方法で合成化学上、高いポテンシャルを持つ

5) 有機溶媒廃液の微生物処理に関する研究
汎用性の有機溶媒アセトニトリルの研究室レベルでの簡便な処理法

このうち、1)は以前に企業と共同で実用化した。また5)については、岐阜県と共同研究を推進しているとのことであった。

第4回

実施日時と場所 平成15年10月23日(木) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 名古屋工業大学大学院 産業戦略工学 教授 中村 隆 氏
大同メタル工業(株) 担当者
研究内容・
実用化事例等
近年の環境影響度に対する意識の高まりに応え、生産技術における省エネルギー、環境負荷低減の技術開発を行っている。
具体的な研究テーマは下記の通り。

1) 環境を重視した油膜付き水滴加工液の研究
水滴の表面に油膜を形成した加工液を開発し、加工能率、加工精度を維持した環境対応加工が可能となった。

2) マグネシウム合金の高精度切削加工
安全性を確保しながら、高精度な切削加工が可能なシステムを構築し、愛産研にて試験稼動している。

3) 微細放電付着加工の研究
微細放電加工にて、条件設定により電極材料を相手表面に付着させることが可能となり、微細立体形状を高能率に創成できた。

このうち、1)は企業にて製品化され、自動車生産ラインその他で使用されている由。

第5回

実施日時と場所 平成15年11月13日(木) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 岐阜大学工学部 
機能材料工学科・材料プロセス工学講座・三輪研究室 教授 三輪 實 氏
株式会社ナック 代表取締役 中島 洋司 氏
研究内容・
実用化事例等
高分子材料及びそれを用いた複合材料の構造と物性に関する研究、さらに、それらのリサイクルに関する研究を行っており、具体的な研究テーマは下記の通り。

1) 繊維-マトリックス界面のせん断強度の推定
ガラス繊維、カーボン繊維と新規に開発された溶媒可溶型耐熱性樹脂について、フラグメンテーションテストにより、推定

2) 繊維強化プラスチックスの構造と物性
繊維が二次元ランダムに分散した複合材料の構造と物性との関係を検討

3) クレーズを利用した機能性フィルムの開発
ユニークな方法でクレージング処理したフィルムの多機能化

4) 複合材料の再資源化
無機と有機材料からなる複合材料の再資源化技術

このうち、3)は我々が開発したフィルムを利用して、企業と共同で各種の製品を実用化した。また4)については、産官学共同で取り組み中及び取り組み予定である由。