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先端技術(環境・素材)移転研究会

大学が有する環境や素材に関する先端技術シーズを地域企業に紹介することにより、地域企業における先端技術の活用や新規分野への進出意欲を高揚し、もって地域産業の新展開及び新規産業の創出に資することを目的として、研究会を開催いたしました。

開催概要結果

本研究会は、総括講師、講師及び参加者から構成し5回シリーズで実施。講師は大学教授等とし、毎回それぞれの研究内容及び実用化事例等についてご講演していただきました。
参加者は10名程度とし、約1時間の講演の後、講師及び参加者で意見交換を行いました。

期間 平成16年9月9日(木)~平成16年11月30日(木)まで(全5回)
場所 愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター(→所在地等)
一宮市大和町馬引字宮浦35 電話:(0586)45-7871
受講料 3万円(5回分)

開催スケジュール

開催日時 講師(敬称略) 講演内容
  第1回~第5回(総合講師) 岐阜大学教授 岡村 政明 技術シーズの実用化における課題と今後の対応
1 9月9日(木)午後1時30分 岐阜大学大学院教授 箕浦 秀樹 光電気化学の応用によるカラフル太陽電池及び半導体表面加工
2 9月19日(木)午後1時30分 中部大学応用生物学部教授 荒井 基夫 有用微生物の利用によるバイオマス等のエネルギーシステム
3 10月21日(木)午後1時30分 豊橋技術科学大学教授 藤江 幸一 エコロジーシステムを活用した環境保全技術
4 11月11日(木)午後1時30分 中部大学工学部教授 二宮 善彦
大同メタル工業(株) 担当者
燃焼システム等の活用による有害物質の回収無害化処理
5 11月13日(木)午後1時30分 名城大学理工学部助教授 坂 えり子 酸化物超伝導繊維、膜の作製と性能評価

講師研究内容一覧

第1回

実施日時と場所 平成16年9月9日(木) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 岐阜大学大学院工学研究科教授 箕浦 秀樹 氏
研究内容・
実用化事例等

電気化学、特に光電気化学という学問に関連した研究が中心。この分野は光触媒で一躍有名になったが、今は次世代太陽電池として注目されている色素増感太陽電池にも関心が集まってきている。進行中の研究テーマもこれが中心。

  • フィルム型カラフル太陽電池“レインボーセル”の開発
    プラスチック基板を用いて、軽くて、きれいで、曲げられるデザイン性豊かなカラフル色素増感太陽電池を、低環境負荷型プロセッシングで作製する研究を進めている。まだ実用化はされてないが、“レインボーセル“という名称でそのロゴと共に商標登録済み。
    具体的には主に二つの手法による作製で実用化を目指している。一つは電気めっきを利用して色素を担持された多孔性酸化亜鉛薄膜を作製するもの、もう一つは酸化チタン微粒子とチタン塩と適当な組成で混合してペーストを調製し、塗布後、単に風乾するだけで多孔性酸化チタン膜を作製するものである。いずれも低温製膜を可能にするため、プラスチックなど耐熱性の低い基板も利用可能である。また、コア技術は特許申請済みである。
    前者については、関心をもつ複数企業へ技術指導を開始、後者については、岐阜大学のインキュベーション施設にて複数企業との間で実用化目指した共同研究を開始している。なお、この“レインボーセル”の開発は岐阜県商工局エネルギー室が窓口になっている岐阜県新エネルギー導入研究会太陽光発電部会における研究課題としても取り組まれている。
  • 光電気化学反応を利用した半導体表面の微細加工とそれを利用してガスセンサーや光触媒の性能向上を図る研究
    高結晶性でしかも比表面積の大きい多孔性の半導体に対するニーズは多い。光触媒で有名な酸化チタンはもともと化学的に極めて安定とされてきたが、硫酸水溶液中で光電気化学反応を起こさせると、表面がエッチングされて、結晶面に依存した規則的な微細構造が出現することを見出した。これを利用したデバイスの性能改善が確認されている。

第2回

実施日時と場所 平成16年9月29日(木) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 中部大学応用生物学部環境生物科学科教授 荒井 基夫 氏
研究内容・
実用化事例等

バイオマス特にセルロース性物質は地球上で最も大量に存在する有機物質であり、これをブドウ糖に分解すれば、エタノールなどの有用物質に転換でき、自動車燃料や化学工業原料となる。 そこで、バイオマスの微生物利用を中心とした研究を行っている。具体的な研究テーマは次の通りである。

  • Aspergillus aculeatusのセルロース性物質分解酵素
    A. aculeatus はTrrichodermaのセルロース分解酵素(セルラーゼとしては世界最強の酵素)と相乗効果を示し、植物繊維を完全に単糖にまで加水分解した。分解物からは容易にエタノールを作ることができた。この菌の酵素群に性質を明らかにし、新規な酵素を発見した。これらの酵素群の遺伝子を取得して、これを酵母に導入したスーパー酵母、カビに導入したスーパー麹の育種などを行っている。
  • アミラーゼ阻害剤
    放線菌は蛋白性アミラーゼ阻害剤を生産する。これらを、肥満防止や糖尿病治療に応用しようとしたが、結果として失敗した。理由は蛋白であるが故、最初は効果があっても徐々に抗体ができるからで、当然の結果であった。しかし、診断薬としての応用をめざして研究を続けている。この研究の中で、阻害剤不感受性アミラーゼを扱い、新規なデンプン結合ドメインを発見した。有用なアミラーゼの創製をめざして研究を続けている。
  • キチン分解酵素
    キチンはセルロースについで大量に存在する有機物質であり、有効利用をめざした分解酵素の研究を続けている。
  • 化学修飾したセルラーゼによる繊維の減量加工
    セルラーゼに水溶性高分子を結合させ、分子量を大きくしたセルラーゼを用いて綿繊維の加工を試みている。
このうち、Aspergillus aculeatusのセルロース性物質分解酵素はナショナルプロジェクトとして研究中である。

第3回

実施日時と場所 平成16年10月21日(木) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 豊橋技術科学大学エコロジー工学系教授 藤江 幸一 氏
研究内容・
実用化事例等
  • 地域水利用システムおよび最適排水処理技術の開発
    限られた水資源を有効に活用するための水循環システムの設計に関する調査研究、生産プロセスのクローズドシステム化およびオンサイト処理による水リサイクルの推進に関する研究を行っている。加えて、エネルギー消費の削減を目標にした排水処理技術の開発と性能評価に関して、おもに好気性生物排水処理の酸素移動に着目した研究を行っている。各種産業排水処理についても研究実施。
  • アップグレードリサイクルをめざした高圧熱水反応の機能解析と再資源化技術開発
    超臨界・亜臨界水の得意な反応性を利用した高圧熱水反応によって、多様な廃棄物や未利用資源を改質し、より付加価値の高い再利用を実現するための技術開発を行っている。水溶性高分子、各種プラスチック、各種バイオマス、炭素繊維などを対象としている。
  • 持続可能社会をめざした物質フローの解析と物質循環ネットワークの設計
    持続可能な未来社会を実現するためには出来るだけ少ない資源・エネルギーの消費と環境負荷で稼動できる社会システムを確立しなければならない。このためには、まず現状解析、すなわち産業間や地域内での物質フローを解析し廃棄物排出等の問題点を明らかにするとともに、再資源化技術も含めた情報データベースを構築する。持続可能な未来社会像を提示するとともに、それを実現するための機能提供システム、社会システムを設計する。
  • 生物群集の機能を活用した生態系の保全・修復、排水の最適処理に関する研究
    土壌や水環境等の開放系環境における微生物群集構造の変化を簡易に解析する手法の開発を行ってきた(キノンプロファイル法)。これをPCR・DGGE法、CTC法、FISH法などと併用することで、微生物群集動態に関する多様な情報を取得できることを明らかにしてきた。これらの手法を利用して、難分解性化学物質の分解過程の解析と分解の促進、汚染修復のモニタリング、生態系の変化を指標とした水環境質の評価、干潟・底質の水質浄化能力評価、生物排水処理の性能向上、農耕地の生態系変化の解析などに関する研究を行ってきた。
  • その他
    固定化微生物を利用した脱臭プロセスの開発、化学物質の排出量推計とリスク評価などの研究も実施。
エアレーション、の生物分解性プラスチックおよび炭素繊維のリサイクルに関しては民間企業と共同研究中。生物脱臭は民間企業と製品化済み。

第4回

実施日時と場所 平成16年11月11日(木) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 中部大学工学部応用化学科教授 二宮 善彦 氏
(株)エージック技術開発部次長 松谷 章憲 氏
研究内容・
実用化事例等

石油代替資源の一つである石炭のエネルギー利用に関しては,その燃焼に伴い発生する環境汚染物質(窒素酸化物、硫黄酸化物、飛灰、有害重金属等)が問題となっている。一方、廃棄物や再生エネルギーであるバイオマスなどに対しても、環境に配慮した利用技術が求められている。このような観点から、本研究室では環境に調和したエネルギー利用技術、環境浄化技術に関する研究を行っている。具体的な研究テーマは次の通りである。

  • CCSEMを利用した無機粒子の粒径と化学形態の測定
    SEM(走査電子顕微鏡)およびEDS(エネルギー分散型検出器)に画像処理ソフトを組合せ、数千個レベルの無機粒子の粒径と組成を自動的に測定するCCSEMシステム(Computer Controlled Scanning electron Microscopy)を構築した。本測定法を利用して、石炭や下水汚泥の燃焼やガス化過程における無機成分の挙動解明、新規脱硫剤の開発などを行っている。
  • 脱水下水汚泥の溶融燃焼
    下水汚泥の乾燥過程を省き、脱水汚泥の直接溶融燃焼による処理プラントを石川県の企業・大学と共同で開発した。本プラントは、汚泥排出量が数t/日を対象とした中小の処理場を対象としている。
  • 重金属に汚染された土壌の高温焼成による無害化
    土壌の高温焼成による重金属除去に関する研究を行っている。
  • 粘土系吸着剤を利用した排水中からの染料回収
    ファインセラミックス産業では部品検査用染料が大量に使用されている。粘土系吸・脱着剤を利用した排水中の染料回収装置の開発を行っている。
  • 陰イオン吸着剤の開発
    AlとMgからなるハイドロタルサイト様陰イオン吸着剤の開発を行っている。
このうち、脱水下水汚泥の溶融燃焼・粘土系吸着剤を利用した排水中からの染料回収・陰イオン吸着剤の開発は企業と共同で実用化に向けて研究・開発を進めている。

第5回

実施日時と場所 平成16年11月30日(火) 午後1時30分
愛知県産業技術研究所・尾張繊維技術センター3号館会議室
講師 名城大学理工学部材料機能工学科助教授 坂 えり子 氏
研究内容・
実用化事例等

低コストな繊維紡糸技術を用いた酸化物超伝導体の細線化および超伝導膜の作製と特性評価に関する研究を行っている。線材は、溶液紡糸法により、また、膜はスプレー法、スクリーンプリント法により、それぞれ超伝導薄膜・厚膜を作製している。いずれの場合も、種々の形状に加工した後、乾燥と熱処理により超伝導相を出現させるものである。超伝導特性は、熱処理条件に強く依存するため、より良質な酸化物超伝導体を作製するためには、それぞれの材料に応じた温度、時間、雰囲気ガスなど、諸条件の最適化が重要である。具体的な研究テーマは、下記の通り。

  • 溶液紡糸法による酸化物超伝導繊維の作製
    溶液紡糸法は、化学的な溶液から粘性前駆体を調整し、直径約150-200ミクロンの繊維状に成型加工する方法である。化学的な溶液から粘性前駆体を調整し、直径約150-200ミクロンの繊維状超伝導体を作製することができる。希土類元素をベースとする種々の高温酸化物超伝導体にこの方法を適用し、臨界電流密度の向上を目指す。
  • 溶液噴霧法による酸化物超伝導薄膜の作製と評価
    金属硝酸塩を出発材料に用いた噴霧液を適当なキャリアーガスにより、基板上に吹き付け2ミクロン程度の超伝導膜を作製する。超伝導膜の簡便な作製技術の確立と超伝導特性の向上を目的とする。
  • スクリーン印刷法による酸化物超伝導厚膜の作製
    固相反応法で作製した超伝導粉末と有機ビヒクルとを混練した印刷用インクを用い、膜厚10-20ミクロンの酸化物超伝導膜を作製する。2)と同様に印刷法による作製技術の確立と超伝導特性の向上を目的とする。