令和8年度「産学協創チャレンジ研究開発事業(大学シーズ型)」で実施する研究開発課題が決まりました。
令和8年度「産学協創チャレンジ研究開発事業(大学シーズ型)」では、下記の研究開発課題を実施します。(6件)
ウォータージェットを応用した異材接合技術の開発
代表研究者
あいち産業科学技術総合センター 三河繊維技術センター 主任研究員 小林 弘明
ニーズ提供企業
株式会社フロージャパン
研究開発の要約
近年、輸送機器の軽量化による燃費改善が必要とされている。軽量で高比強度のアルミニウム合金と炭素繊維強化プラスチックを構造部材として利用するため、この両者を接合する技術開発が課題である。異材接合技術としては締結材による機械的接合、接着剤による接着接合や摩擦撹拌接合をはじめとした直接接合などがある。このうち接着接合では、前処理としての接着面の表面処理が接合強度に大きく影響する。
そこで、本研究では接着接合の前処理として、水のみを用いたウォータージェットに着眼した。ウォータージェットによる表面改質は熱影響がなく、被着材表面には異方性のない不均一な凹凸を形成できる点が特徴である。これにより、接着剤の良好な浸透性とアンカー効果が期待できる。そして、あいちシンクトロン光センターのX線CTを活用し、ウォータージェット条件と接合強度を検証することで、優れた強度を実現する異材接合技術の確立を目指す。
微細加工応用シートの開発
代表研究者
豊田工業大学 工学部 教授 佐々木 実
ニーズ提供企業
株式会社アイセロ
研究開発の要約
微細加工プロセスの一つであるリフトオフ工程に適したシートを開発する。リフトオフ工程は、電子ビーム描画や紫外線露光で得たレジストパターンの上から、金属などの膜を堆積した後に、レジスト材を溶かしてその上の膜は物理的に除去し、基材上に直接堆積した膜のみをパターン状に残すプロセスである。レジスト材は有機溶剤で溶かすことになるが、溶けるまでに長時間がかかる。超音波照射などの揺動は、パターンを傷めるリスクがある。特にナノパターン形成の研究では、何日も溶剤に浸けて待つことが日常的に行われており、非効率である。このような問題の解決に、新しい機能を持つシートを開発する。実験結果をフィードバックし、リフトオフに適した新シートを開発する。
静電スプレー法を用いた逆構造型フレキシブルペロブスカイト太陽電池の製膜技術開発
代表研究者
愛知工業大学 工学部 電気学科 教授 清家 善之
ニーズ提供企業
旭サナック株式会社
研究開発の要約
ペロブスカイト太陽電池は、シリコン型太陽電池に匹敵する高い発電効率を有し、軽量・フレキシブル・低コスト製造が可能な次世代太陽電池として注目されている。特にフレキシブルペロブスカイト太陽電池は、建材、自動車、IoT機器、ウェアラブルデバイス等への応用が期待されている。しかし現在主流のスピンコート法では、大面積化や連続生産への適用が難しく、材料ロスも大きい。
本研究では、旭サナック株式会社が有する静電スプレー技術を用い、逆構造型フレキシブルペロブスカイト太陽電池の各機能膜形成技術を確立する。特に液滴帯電状態や飛行挙動、乾燥過程を制御することで、膜均一性および結晶品質向上を目指す。さらに、パッシベーション層形成への静電スプレー適用を検討し、低温・大面積・高品質製膜技術の確立を図る。
水素技術の低コスト化をめざした高耐久性・高効率燃料電池開発
代表研究者
名古屋大学 未来社会創造機構マテリアルイノベーション研究所 教授 澤田 康之
ニーズ提供企業
株式会社名城ナノカーボン
研究開発の要約
燃料電池の普及には、触媒に高価な白金を多用している点や利用する水素が高価である点などの妨げがあり、低コスト化が求められている。しかしながら、現行の燃料電池ユニットでは99.999%の高純度水素しか利用できないことや、触媒層面積が大きく白金使用量が多い点から、将来の量産化達成だけでは低コスト化が見込めない現状がある。本研究開発では、安価なバイオマス由来の水素を、現行より小さい触媒層で利用できる燃料電池ユニット実現を達成する。そのため、発電性能向上のために単層カーボンナノチューブを利用し、さらにCOを含む低純度水素ガスに対する被毒耐性を持たせた高耐久・高効率触媒材料を開発する。また同材料を用いて現行触媒層の半分の面積の膜電極接合体を作製して燃料電池ユニットに組み込み、発電性能評価を行う。その上で、現行の燃料電池と同等以上の発電性能を達成することで、将来の水素関連技術の低コスト化をめざす。
ASP窒化によるステンレス鋼への高密着SiCコーティング技術開発
代表研究者
愛知工業大学 工学部 電気学科 教授 竹内 和歌奈
ニーズ提供企業
中日本炉工業株式会社
研究開発の要約
近年の半導体製造プロセスでは、ハロゲンプラズマを用いたドライエッチング工程が広く利用されており、装置部材の腐食やパーティクル発生が課題となっている。現在はイットリアコーティングが広く利用されているが、摩耗に伴うパーティクル発生および定期的な再コーティングが課題となっており、高耐久な代替材料が求められている。本研究では、本研究グループが有する低温熱化学気相成長(CVD)法によるSiC成膜技術を基盤とし、アクティブスクリーンプラズマ(ASP)窒化技術を組み合わせることで、ステンレス鋼上への高密着SiCコーティング技術を開発する。特に、異なる窒化処理方法によるステンレス鋼とSiCとの界面制御が、膜応力・密着性・耐プラズマ性へ与える影響を明らかにし、半導体エッチング装置部材向け高耐久耐プラズマSiCコーティング技術の基盤構築を目指す。
太陽光パネル大量廃棄問題に対応する廃ガラスのコンクリート材料化技術の研究開発
代表研究者
金城学院大学 デザイン工学部 教授 朴 相俊
ニーズ提供企業
株式会社安部日鋼工業
研究開発の要約
近年、太陽光パネルの大量廃棄時代の到来が懸念されており、その重量の約7割を占める廃ガラスの有効利用技術の確立が急務となっている。本研究では、太陽光パネル由来廃ガラスをコンクリート材料として高度利用することを目的とし、ガラス微粉末をセメント代替材料として用いる方法と、破砕ガラスを細骨材として循環利用する方法について学術的・実用的検討を行う。太陽光パネルガラスは主成分が均質で品質変動が小さいことから、従来のびんガラス系リサイクル材に比べて建設材料への適用性が高いと考えられる。本研究では、強度発現性状やフレッシュ性状に加え、アルカリシリカ反応(ASR)、中性化、塩害、凍結融解および火害に対する抵抗性などの長期耐久性を中心に評価し、循環型社会に資する新たな建設材料としての実用化可能性を明らかにする。

